注文住宅を建てようと思っているお施主さんにとって、間取り決めは非常に重要なものです。
家を建てる前に何パターンもの間取りを設計士の方と一緒に考えるでしょうし、風水や家相を気にする方もいると思います。
家を建てる前は「この間取りで完璧だ!」と思っていたものの、実際に数年暮らしてみれば、「やっぱりここはこうすべきだった…」という気づきや反省点も出てくるものです。
だからこそ、先に注文住宅を建てた方々から、自分の家の間取りの『良かった点』や『反省点』を事前にヒアリングすることができれば、家作りや間取り設計に役立てられるでしょう。
ここでは、新築の家を建てて数年経過した7名の方に、当時の間取り図を公開して貰いながら意見をお聞きしました。
平屋の新築4LDK(33坪)

間取りの良かった点
収納スペースが非常に多い点です。母親が、ストックをするのが好きなので大きな収納スペースを作ったのですが、それだけではなく空きスペースにも小さな収納をつけてくれたので、それぞれの場所に使うものを分散して配置できるのでとても便利です。
4.5帖の洋室に関して、真ん中を引き戸にしています。普段は閉めず広い部屋として利用していますが、姉夫婦が帰省してきた際や、来客があった際には扉を閉めて別の部屋として使えるようにしており非常に便利です。
また玄関に近い部屋は私の部屋ですが、夜遅くに両親が寝ている時間帯に出入りしたりする音が聞こえにくくするためです。逆に父と母は、夜中に体調が悪くなったりした際にお互いにすぐ気付けるように隣合わせにしています。導線が私たちの生活に合っておりとても満足しています。
最後に、ウッドデッキに洗濯物を干していますが、洗面所で洗濯をしてすぐ横にでると洗濯を干せるので非常に便利です。
間取りの反省点
かなり時間をかけて考えた間取りなので特に悪い点はないですが、LDKをもう少しだけ広くしたかったなという印象です。経緯があって今の広さになったのですが、ダイニングとソファを置くと一気に圧迫感が出てしまったのが残念でした。
坪数:33坪
建築会社:株式会社タニモト(i-style)
新築30坪の間取り(※こちらの家は建売住宅です)

30坪の間取りの良かった点、悪かった点
17.5帖のLDKについては、キッチンとリビングの間に仕切りを設けて、必要に応じて開閉できるといいなと思いました。
キッチンで料理や片付けをしている音が意外とリビングに響くので、テレビを見ている家族がいるときは閉めて、開放感がほしいときや、家族とコミュニケーションをとりたいときは、開けておけるといいですね。キッチンに立つ必要がないときは閉めておくと、冷暖房費の節約にもなると思います。
リビングに畳コーナーがあるのですが、畳自体も、少し突出した造りも、これは不要だと感じました。LDKは長方形にし、突出している部分をポーチか玄関スペースにして、自転車置き場を設けてほしかったです。ただし、畳は、小さいお子さんや高齢者には喜ばれると思います。
リビングの大きな窓が東南に面しており、冬は暖かい日差しが入ってきてよいのですが、夏は昨今の気候だと厳しいです。朝6時なのに27℃、という日もあります。お隣のお宅は北西部分をリビングにしており、外観もそちらの方が緑があって静かなので、環境によっては必ずしも日当たりを一番に考えなくてもいいのかな、と思います。
階段の横にある1階の収納スペースですが、暗いので、小さくても窓があると良かったです。
トイレ、脱衣室、お風呂場には窓があり、風も光も入るので気持ちがいいです。お風呂は特に広めなのが嬉しいです。
ホールからトイレに向かう突き当りの部分が窓になっているのですが、その外側の敷地が猫の額ほどですが庭になっているので、扉の方が出入りできていいなと思います。非常時も安心できるような気がします。
2階は3部屋ともクローゼットがついていますが、6帖の部屋の方がクローゼットが広く、8帖も同様の大きさだと良かったです。3人家族でそれぞれ1部屋ずつ使用しているのですが、8帖の方は結局クローゼットに衣類が収まらず、別で収納家具を設けました。
あと、季節によって不要になる布団や毛布をしまっておくスペースがないので、2階は6帖を3部屋とし、残りは収納スペースだとよかったです。
2階のホール部分に、室内物干しを置けるスペースがあってよかったです。
1階床面積:55.47平方メートル
2階床面積:54.65平方メートル
延床面積:55.47+54.65=110.12平方メートル
建築会社:株式会社トーワウインズ
2階建て新築の間取り。注文住宅を建てて4年目の気づき


間取りの良かった点
モデルハウス見学会で見かけた家事動線の間取りがかなり気に入り、それを少し参考にしてキッチン~パントリー~洗面所~廊下へと繋がる道から壁を無くしてみました。
右から行ったり、左から行ったりと自由に行き来できるので食糧を大量にお買い物したときなどはとっても助かっています。
あとは夫の要望で作った「土間収納(シューズクローク)」。靴をそんな大量に持ってないのに何をしまうのだろう…と思っていましたが、これが意外と重宝スペースでした。
子供が小さいので、外用のオモチャやベビーカーを収納してもまだまだ余裕で、洗車用品や夫の仕事道具(工具など)からダンボールのゴミや防災用品を置いたり、ちょっとした洗濯物まで干せるので、使い方が無限大です。
棚や収納の工夫をすればもっと綺麗に沢山の物が置けそうなので、おいおい検討していこうかと思っています。
間取りの反省点
まずなにより、採光のことまで考えてなかった点です。
キッチンが南寄りにあるので朝から晩まで日光が直接入らず、朝でも電気をつけないとちょっと暗いな…と感じます。(それでもまだ隣に家が建つまでは、夕方になれば勝手口から光が入ってきていたのですが…)日の当たる面に小窓の一つでもつければ、少しは明るくなったのかなぁ…と悔やまれます。
ただ、西側に隣家が建ったことにより夏の強烈な西日が部屋に入ってこないので、その点だけはよかったなと思います。
また、外観の窓の配置はハウスメーカーの担当者様のセンス(窓の大きさや配置を揃えると綺麗に見える、とのこと)によって配置されたので、図面を見せてもらったときは気が付かなかったのですが、いざ建築工事が始まると2階へと続く階段の途中にある窓に手が届かない!
大工さんにも「普通の窓じゃなくて、ハメ殺しの窓(開閉することができないよう固定された窓)にすればよかったですね」と言われてしまいました。大きな脚立を使ってもとても届かない高さにあるので、おそらく一生開かない窓です。
寝室に関しては、寝るだけなのでそんなに広くなくていいかと8帖ほどにしましたが、子供が産まれて一緒のベッドに寝るようになるとシングル×2のベッドの広さでは少し窮屈に。10帖あればセミダブルのベッドを二つ並べて置けたのにね…と夫と顔を見合わせる毎日です。
子供が大きくなれば別の部屋で寝るようになるとは思いますが、寝るだけの部屋とはいえ快適に眠る為にはそこそこの広さは必要なのかなと思いました。
あとはリビングのエアコンの位置が微妙すぎたところです。
設計上、リビングの東側の壁にしか置けなかったようなのですが、そこはリビングの出入り口の真正面。ドアを開けっぱなしにしておくと冷気も暖房も全部玄関に逃げてしまいます。部屋が快適な温度になるまでに相当電気代がかかってそうで、毎月請求にビクビクしています。
坪数:69坪(土地)
建築会社:タマホーム株式会社
新築の2階建ての間取り(36坪)


注文住宅を建てるにあたり、こだわったことは
- 廊下を最小限にし、リビングスペースを広くとること
- 和室をリビングに隣接させる(リビングを通らずトイレと洗面所に行くことができ客間としても利用可能)
- リビングにクローゼットを設置したい
上記の3点は譲れない点でした。
間取りの良かった点
実際に建ててみてよかったところの1つめとしては、和室の配置です。客間としての利用が可能なように設計したので、扉を閉めれば完全に独立した部屋としての仕様が可能なところはよかったところ。また、子供が小さいうちは普段の遊び部屋として機能しています。
2つめとして、階段下にクローゼットを設置したところです。普段玄関でコートを脱いだり鞄を置いたりすることが前の家でもありませんでした。
自分たちの生活動線を考え、入室してすぐの位置にコート置きやカバン置き場としての収納があることは便利です。
3つめとして、階段に扉をつけたところです。エアコン効率を考えてのドアの設置でしたが、エアコンの効きも開いているのと閉まっているのでは全く異なります。ドアをつけて正解でした。
4つめとして2階にホールを設置したところです。こちらは、主寝室にそこまでの広さを求めなかったので、その分フリースペース、そして室内干しスペースとして活用できるようなホールを設けました。
2階全体に光を取り入れることができ、夜のエアコン代を余計にかける必要もないので、気に入っています。
間取りの反省点
建ててみて後悔しているところは、扉開閉の方向についてです。
たとえばリビングにおいては、ドアを開けて入室しようとすると、階段下クローゼットの物を取っている場合には、中にいる人にぶつかりそうになります。
あわせて、キッチンから洗面所に通じるドアを開けようとすると、洗面所の棚扉が開いていると、こちらもぶつかりそうになります。その点で、動線と扉の幅、開け閉めについて熟慮するというところが我が家で足りなかったところです。
坪数:36坪
建設会社 :郡建設株式会社
注文住宅を建てて1年経った今の間取りの気づき(敷地面積52坪、建築面積22坪)

間取りの良かった点
玄関を広くしたため、朝の準備や大荷物で帰ってきた時にストレスを感じないです。玄関に収納スペースを設けたので、夫の仕事の持ち物や服、子供の幼稚園の用品、バッグなどを置くことができ、朝の準備がスムーズです。玄関横のシューズクロークを土間にしたため、靴以外にもアウトドア用品の収納に役立っています。
キッチンからリビング、キッズルームがすべて見渡せます。実家で兄弟が多く、朝洗面台が混み合うのが嫌だった経験から、洗面台を2つ付けました。現在は子供が小さいので、汚れた衣類などを漬けておいておくのに役立っています。洗面所と脱衣所を分けて、鍵のかかるドアを付けたため、プライバシーを守れます。
2階12帖を家族4人の寝室にしているため、ベッドを3つ並べて広々と使うことができています。子供が大きくなって個室を欲しがった際に2部屋に仕切り、分ける予定です。
間取りの反省点
旗竿地のため1階リビングだと日当たりが悪く、昼間でも電気をつける必要があります。2階をリビングにして、明るさと広さが欲しかったです。
ランドリールームを作りたかったです。そしてランドリールームから繋がるファミリークローゼットが欲しかったです。洗濯のあと、各収納場所へ分けるのが大変だからです。
玄関に洗面所を置き、帰宅後部屋に入る前に手を洗えるようにしたかったです。もしくは玄関から洗面所へ行ける動線にしたかったです。我が家はリビングを通らなければならないので、子供達が汚れている時にはリビングを通すのが嫌です。
坪数:敷地面積52坪、建築面積22坪
建築会社:地元の工務店
35坪の新築の間取り


間取りの良かった点
LDKが横に長い作りなので、家具の配置がしやすく、それぞれのスペースを十分に確保できます。隣室の和室は、現在キッズスペースとして利用しています。引き戸を開けておけば、子供の遊ぶ声や姿がLDKからわかるので安心できます。
ウォークインクローゼットも作って良かったです。とりあえずここに収納しておけば、部屋がすっきりして見えるからです。奥行も横幅もあるので、洋服の出し入れにストレスを感じません。子供が将来巣立っていくことを考えたら、子供部屋を小さめにして、その分ウォークインクローゼットに広さを確保しているほうが良いと思います。
間取りの反省点
洗面脱衣所がとにかく狭いです。洗濯機を置くと、他はなにも置けません。洗濯カゴですら置く場所に困っています。ドラム式洗濯機のため、開け閉めするとお風呂に行く道がふさがれてしまいます。またリビングから直結しているので、常に戸を閉めた状態になり、換気をしているとはいえ、湿気が気になります。
階段がLDKの中央から上に伸びているので、エアコンの効きが悪くなります。特に冬は暖房の空気が階段を上っていってしまうので、部屋全体は暖かくなりません。冷暖房の効率を良くするには、階段の天井からカーテン等で空気が上にいかないようにする対策が必要だと言われました。見栄えが気になり特に対策できていません。
地積:117.57㎡(35.56坪)
床面積:106.20㎡(32.12坪)
建築会社:ホームポジション株式会社
バリアフリーで2階にお風呂がある家の間取り(3階建て)



新築の間取りで成功できたポイント
バリアフリーで、柱が全くなく、吊り戸で、一部屋一部屋がゆったりしているところがとても気に入っています。
また、お風呂が二階にあります。三階は両側がテラスになっていて、夜は綺麗な夜空が見えます。夫が天井を決め、後は全部私に一任してくれたので、自分の思うとおりの家を作る事ができました。
間取りが広いので、無駄に物を置かないようにして、いつも広々ゆったりと使っています。
家を建てる前は、こういう家がいいというのが具体的になかったのですが、家を建てる時になって、こうしたいというのがどんどんでてきた感じです。後は予算次第のところもありますが、自分がこんな風にしたいというのがハッキリしている場合、妥協せずになるべく取り入れた方がいいです。
ただ、ハウスメーカーさんの意見も少し取り入れた方がいいです。知り合いの方で、吹き抜けに拘ったばかりに、部屋が狭くなってしまった方がいたからです。
子供がいたら子供の数だけ部屋が必要に感じてしまいがちですが、いつか巣立つ事を考慮したほうがいいと思います。私の場合、当初の予算を大幅に超えてしまいましたが、今でも妥協しなくて良かったと思います。毎日家に帰るたびにいい家だなと思えてとても幸せだからです。
坪数:47坪
建築会社:ミサワホーム
新築の間取り成功例の調べ方
以上、新築を建てた7名の方の事例を紹介しましたが、他にも新築の間取りの成功例を調べるには、以下の方法があります。
ハウスメーカーや不動産会社のウェブサイトをチェックする
多くのハウスメーカーや不動産会社が、新築物件の間取りをウェブサイト上で公開しています。物件の詳細ページから、間取り図や設計図を確認することができます。
ただし、基本的に良いことしか書いていないので、ひとつの参考情報として留めるようにしましょう。
住宅展示場やショールームを訪問する
住宅展示場やショールームには、多くのハウスメーカーや不動産会社が自社の新築物件の間取りを展示しています。実際に間取りを見ることで、自分がどのような間取りを希望しているかを具体的にイメージできます。
ただ、多くの方がご存知の通り、住宅展示場の物件は広い土地に贅沢なオプションもつけて設計されていますので、「実際に同じような家が建つ」と考えない方が良いですね。
あくまでも、新築の間取りプランの参考にするという考え方をするようにしましょう。
マンションやアパートの間取りを調べる
参考にする方は少ないですが、実はマンションやアパートの間取りも、新築住宅の参考になります。不動産情報サイトや不動産会社のウェブサイトなどから、物件の間取り図や設計図を確認することができます。
ホームスタイリングのブログを参考にする
ホームスタイリングのサイトやブログには、多くの実例が掲載されています。
ホームスタイリングとは、住宅や建築物の内装や外装を美しく飾り付け、より魅力的で快適な空間を作り出すことを目的としたサービスです。主に、住宅販売前やレンタル住宅の入居前に、物件の魅力を最大限に引き出し、より高く評価されるようにすることが目的とされています。
他人の間取りやインテリアを参考にすることで、自分がどのような間取りを希望しているかをイメージしやすくなります。
以上の方法を組み合わせて、自分が理想とする新築の間取り成功例を調べることができます。