大規模修繕中にペットが受けるストレスは?振動や臭いへの対策方法も解説

ペットを飼っている居住者の中には、大規模修繕がペットへ与える影響を気にする方もいるでしょう。

動物は人間より何倍も鋭い感覚を持っています。

受けるストレスは、もしかしたら私たちよりも大きいかもしれません。

「でも、どんな対策をしたら良いか分からない」

という方の為に、この記事では元現場監督員の私が、大規模修繕中にペットが受けるストレスやその対策方法について解説します。

工事を依頼する立場の方は、対策方法を掲示するのもありです。ペットを飼っている居住者からの、無用なクレームを防ぐことにもつながるでしょう。

ぜひ、最後までご覧になってみてください。

大規模修繕中にペットが受けるストレスはかなり大きい

大規模修繕中にペットが受けるストレスは、かなり大きいです。人間と比べて、感覚がかなり発達しているからです。

例えば、犬の嗅覚は人間の1億倍ともいわれています。シンナーや塗料の臭いは人間でもツンとくる辛さ。嗅覚が1億倍の犬にとっては、痛みにも似た感覚を覚えるでしょう。

足場で日照が遮られた場合、普段日光浴をしている猫や小動物にもストレスを与えます。動物は日光浴をすることで、自律神経を整えたり、ビタミンDを生成したりしているので、体調を崩す可能性も。

そのため、飼い主はペットが安全・安心して過ごすためにも、大規模修繕がペットに与える影響について理解を深めておかなければなりません。また、留守番が多いペットには留守中も安心して過ごせる対策が必要です。

大規模修繕がペットに与える影響は、私たちが大きいということを改めて認識しておきましょう。

大規模修繕中にペットが受ける主なストレス

大規模修繕中にペットが受けるストレス要因は以下の通りです。

  • 臭気
  • 騒音
  • 振動
  • 人の気配

順番に見てみましょう。

シンナーや塗料などの臭気

塗装で使うシンナーや塗料の臭気は、動物に悪影響を及ぼします。有害物質を多量に含んだ塗料を、犬の近くで利用すると次のような症状が現れることも。

  • 酔っぱらったような症状
  • 良く吠える
  • 皮膚炎を起こす
  • 食欲減退

この症状を引き起こす成分VOCは印刷のインクや接着剤など、身近な用品にも含まれています。塗料に含まれるVOCは、VOCを含む全製品の中でも最も含有量が多いです。

嗅覚の優れた動物を飼ってる方は、シンナーや塗料の臭気に注意が必要になるでしょう。

解体などの騒音

解体などの騒音も動物たちに大きなストレスをもたらします。

例えば、犬が聞き取れる音の距離は人間の4倍。より幅広い周波数の音を聞き分け、人間に聞こえない音ですら聞き取れると言われています。

こんな敏感な聴力を持つ動物が、解体による轟音や鉄パイプのような甲高い音を長時間聞き続けたらどうなるでしょうか。

人間でさえ、大規模修繕中の音は大きなストレスです。聞きたくなくても耳に入ってくる解体の轟音や鉄パイプの甲高い音。どうしようもないだけに、余計イライラしてしまいます。

犬がどのように聞こえているかは分かりませんが、人の足音や話声までも聞き分け、常時音が聞こえて気が休まらないことは確かでしょう。

このように、騒音が動物たちに与える負担は、私たちより大きいことを認識しておきましょう。

トラックの出入りなどによる振動

振動も動物たちにとっては大きなストレスになります。

地震が起きた時のことを想像してみてください。私たちは恐怖を感じますし、それが続く中で平然と日常生活を送るのは非常に難しいです。

動物たちも同じように、振動に対して「なんだ!?」という恐怖を感じます。動物は私たちよりもさらに微細な振動を感じ取るので、わずかな揺れを常に感知し続けることになるでしょう。

また、ゲージで動物を飼っている方は、振動によってゲージなどの音が響くこともストレスの要因になります。

安心して過ごしてもらうためにも、少しでも騒音を軽減してあげたいところです。

人が出入りする気配

繊細な動物だと、人が出入りする気配にストレスを感じます。

動物によっては、テリトリーを大事にしているタイプもいるでしょう。私は猫を飼っていますが、敷地に人が入ると威嚇することがあります。「勝手に入るな」というメッセージなのでしょう。

ベランダに人がいると、私たちも多少不快感を覚えます。

「何をされるか分からない」

「自分たちの安全地帯に知らない人がいる」

という感覚を覚えるからです。自然界の動物達は、自分のテリトリーに他者が入ると、命に関わる可能性があります。そのため、自分のテリトリーに侵入する者に対し、敏感なのです。

そんな不安が毎日続くと、ペットも疲れてしまいます。このことも理解して、対策してあげましょう。

大規模修繕中にできるペットが安心して過ごすための対策

大規模修繕はペットに大きな影響を及ぼすことを述べてきました。では、具体的にはどのような対策を施すべきでしょうか。

ここでは、解説してきた4つの要因について対策方法を述べます。

窓や換気扇で臭気対策

臭気の基本的な対策は「閉めきる」ことです。塗装中や防水中は窓を完全に閉めきり、外気が入らないように徹底しましょう。

換気扇も切ります。換気扇を「室内の空気を外に逃がす」イメージを持ってる方がいますが、換気扇は「室内と外気の空気を入れ替える」ものです。外に臭気がある場合は、そのまま入ってくるので注意しましょう。

最近は24時間自動で喚起し続ける換気扇もあるようです。ペットを飼っている方は、大規模修繕前にチェックが必要になるでしょう。

持っている方は、空気清浄機も稼働させます。シンナーに対して一部効果がないとも言われていますが、その他の有害物質を多少緩和させてくれるはずです。

ただし、何日も換気を行わないと、室内の空気環境も悪くなります。予め現場監督や業者に、いつ頃なら安全に換気を行えるか確認しておくといいでしょう。

BGMなどの活用で騒音対策

騒音も基本的には閉めきることで対応します。サッシやカーテンも全て閉めると良いでしょう。隙間を防音テープで埋めたり、防音カーテンを用意できれば尚よいですが、そこまでするのは現実的ではありません。

そこで、BGMを活用するのがおすすめです。Youtubeなどでは、動物が安らぐ音楽を配信しているものもあります。常に音が流れていれば、突然鳴りだす解体音やエンジン音に対する驚きも、多少和らぐはずです。

ゲージの中で小動物を飼っている方は、毛布を上からかけてあげるのもいいでしょう。

柔らかいクッションなどで振動対策

振動は柔らかいクッションやカーペットで対応してあげましょう。

振動を完全に防ぐのはほぼ不可能です。ただ、柔らかいクッションやカーペットを活用することで、振動を和らげ、ペットの不快感を軽減することができます。

「そんなものはないし、準備も大変…」

という方は、お布団を敷いてあげるのも有効な対策です。振動が嫌であれば、自分から布団に潜り込んでいいます。

ゲージで飼っている場合は、ゲージの下にタオルをひいたり、毛布を被せて対応してあげましょう。

カーテンを閉めて人の気配への対策

人の気配は濃いめのカーテンで対策するのが一番です。

とはいえ、足場を歩く音や話し声は聞こえてしまうため、完全に遮断するのは不可能です。どうしても気になる方は、事前に管理組合や現場監督に話をしておきましょう。

「〇時~〇時はなるべく歩くのを避けてほしい」

「声の大きさに配慮してほしい」

このように伝えておけば、職人も配慮してくれるでしょう。

「人の気配を察知してどうしても犬が吠えてしまう」

という方は、事前に隣人へ事情を話しておくのも手です。無用なトラブルを生まないためにも、理解を促しておきましょう。

大規模修繕中に対策が難しい場合はペットを預けるのも手

大規模修繕に対する対策が難しい場合は、ペットを預けるのも手です。

近ければご実家や友人などに預けられると思いますが、中々そうはいかないでしょう。そんな時はペットのホテルを利用してみてください。費用はかかりますが、飼い主もペットも安心して過ごすことができます。

「そんなに費用はかけられない…」

という方は、ペットの預かりサービスを利用するのもいいでしょう。現在はペットの愛好家同士でお世話を代行してくれるサービスもあります。ホテルと違い、自宅にいるように過ごせるので、ペットにもさみしい思いをさせません。費用がかかる場合もあるので、事前にしっかり確認してから利用しましょう。

様々な理由で、大規模修繕への対応ができない方もいると思います。そんな時は、飼い主のためにも、ペットのためにも、一度預けること検討してみましょう。

まとめ

この記事では、大規模修繕がペットに与える影響やその対策について述べてきました。まとめると以下のようになります。

  • 臭気は基本閉めきって対策し、換気扇に注意する
  • 騒音はBGMなどを使って和らげる
  • 振動は柔らかいクッションやカーペットで対策
  • 人の気配は濃いめのカーテンで遮断する
  • 対策が難しい場合は預かりを検討する

大規模修繕は人間にも大きなストレスがかかります。感覚がより敏感な動物たちにとっては、私たち以上に大きなストレスがかかるでしょう。

また、動物が工事中のストレスで鳴き続け、近隣住民とのトラブルに発展するケースも0ではありません。

もし対策が難しい場合は、事前に近隣住民へ挨拶をしておくか、預かりサービスを利用することも視野にいれておきましょう。

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